自分のためにしている仕事ではなく、人に貢献する仕事をしているという自負心が苦しみを乗り越える力になり、つらくても辞めないで続けられます。
本書 p.100
「運命の人」などいないのです。
本書 p.170
しかし、子の人と一緒に生きていこうと思った人が運命の人になる可能性はあります。そのためには、関係をはぐくむ努力をしなければなりません。
本書は日本アドラー心理学会顧問でもある著者が寄せられた悩みに回答する形で、世間の人々が持っているであろう様々な悩みをアドラー心理学的な見地から回答していきます。アドラー心理学の考え方をうかがうことはできても、アドラー心理学そのものを学ぶための本ではありません。
- 不快なことを断りたい
- 親が干渉してくる
- 「つい」感情的に
- おせっかいな姑
- 人の意見を聞かない夫
上記のような悩みに、アドラー心理学の観点から答えていきます。基本的な路線としては以下の通りです。
- 自分の意見ははっきり言う
- 相手の意見が理解できるか考える
- 自分の価値は自分で認める(=他人からの価値や評価は気にしない)
- 相手の行為に振り回されず、存在に感謝する
- 対人関係の中にのみ本当の幸せは見いだせる
- 対人関係の中に入っていく勇気は自分に価値があると思えた時だけ持てる
とても、難しいです。すべての基本は自分の存在を自分で認めること、自分のものであれ他人のものであれ行為を評価せず、存在そのものに感謝することです。
おせっかいな人、マウントを取ってくる人は屈折した承認欲求を持っています。その屈折した部分には目を向けず、おせっかいやマウントの適切なところだけを評価し、その人がここにいてもいいと感じられるような感謝の伝え方をしていくことが重要と述べています。
そうすると、さっき言ったことをすぐ忘れてしまうような認知症の人に対しても、彼ら・彼女らが覚えてくれるという期待はせず、ただ現実を受け入れることができます。自分自身の存在を自分で認めれば彼ら・彼女らからの承認欲求は必要なくなるはずだからです。
世の中、そんな聖人君子ばかりではなく、カウンセラーもやっている著者ですら実父との関係では苦労したようです。自分自身のストレスを減らす心がけへの指南書ととらえたらいいかもしれません。
人生で起きる大体の悩みは本書に書かれてあるので、一読すると納得したり、実践してみようと思ったりする部分があるかもしれません。