沖縄がもっと力をつけるために


佐藤優(2014)『佐藤優の沖縄評論』光文社

現在、筆者が沖縄について勉強し、語り、書くことは、筆者自身の人生の意味を探求することと、かなり重なっているのである。(本書 p.210)

沖縄に対する構造化された政治的差別を放置しておくと、今後それが社会的、経済的差別に転化する危険がある。(本書 p.286)

佐藤優には沖縄の血が流れている。だからこそ、彼は琉球新報に連載を持ち、沖縄への思いを正直に吐露した。高邁な一般論ではない。新聞に掲載する以上、時勢にあった方法で、具体的にどう動けば沖縄の利益になるかを誠実に訴えている。

沖縄の大学に公務員養成講座を開講し、毎年数人を霞ヶ関に送り込めるような仕組みを作ること、普天間基地の県外移設に取り組もうとした鳩山由紀夫首相への沖縄の声の届け方、国会でなされた沖縄に関する答弁が持つ意味などなど、中央省庁で働いた経験のある筆者の視線から、一般の読者にもわかりやすい表現で現状を分析し、効果的な対応策を訴えている。首相に声を届けるには、年賀状などの手紙がいいなど、今すぐ役立つトリビアだ。

沖縄は左翼の島ではない。かつての琉球王国の時代から連綿と息づいている郷土愛を軸に考えるとわかりやすい。普天間基地移設問題を始めとする一連の日本国政府への異議申立ても、沖縄の人が自らの土地や人々を愛しているからこそ起こる。彼らは基地があるから反対しているのではない。(現実的ではないが)その広大な土地に米国人専用の民間空港や運河があったとしても反対するだろう。自らの土地が不当な形で奪取され、日本国内全体で考えても不釣り合いなまでの負担を強いられている。その現状に異議申立てをしているのだ。

沖縄の民意が反対している米軍基地が未だに移設されていない点に、沖縄には民主主義が適用されていないと見る筆者の指摘は鋭い。