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KGBスパイの秘密は地道な記憶術にあった!

このトレーニングは毎日でも行うことができる。誰かの作業机を見てから、背を向けて机の上にあった物の位置をイメージするのだ。バスや電車なら向かいに座っている人を見て、目を閉じた状態でその絵をイメージすればよい。本棚を見てから、目をそらして本の順序を思い出すようにしても構わない。

本書 p.63

諜報部員の訓練には必ず外国語の勉強がある。諜報部員に選ばれるのは知能が優れているからこそであり、テクニックさえ習得すれば、どんな言語でも訛りなく流ちょうに話せるようになるのだ。

本書 p.159

本書ではあたかもフィクションの事件が起きた形をとってエージェントを勧誘し、そのエージェントの日記を読んで話が少しずつ進んでいきます。その中で一定のペースで様々な記憶テストが行われていきます。

例えばマッチ棒を投げてその散らばった形を覚えたり、さいころを振って出た目と方向を覚えたり、クロスワードパズルの塗ってあるマスを覚えたり…何の役にも立たないと思うかもしれませんが、単純な記憶術の繰り返しで記憶力は着実に身についていきます。

また、ストーリー記憶とイメージ記憶を用いて、出てきた単語を長く覚えるようにするなど、設定は古いですが、だからこそデジタルではなく、アナログな、人間の生(なま)の力に頼った記憶術を伝授してくれます。

人名を覚えるのはロシア人の名前なので難しいですが、それ以外は着実にこなしていけます。単純な方法だけど慣れるまでが難しい記憶術、身につけておくといつの日か何かの役に立つかもしれません。