実は、インターネットもメールと同様に、脳の限られた狭い領域しか使わない作業なのです。
本書 p.112
うつ病では、偏桃体と海馬のネットワークが機能低下します。偏桃体が正常に機能しないために、日常生活で喜怒哀楽の変化に偏りが生じて、生活の中での感動が失われます。
本書 p.143
本書は岐阜県在住の脳神経外科医が書いたうつ病にならない方法を指南する本です。
一般的な症例を紹介してうつ病にはどういう症状があるかを例示し、その後、うつ病は脳の病気であるため、そのメカニズムと対策を紹介しています。
うつ病に一番気づきやすいのは家族であるため、家族に起きた変化をもとに、うつ病かどうかを判断するチェックリストもついています。うつ病にならないためには以下の点が肝要だとしています。(本書 pp.78-80)
- 完璧主義をやめる
- 自分や人のミスに厳しすぎるのをやめる
- 全てをコントロールしようとするのをやめる
- 余計な関わりを持つのをやめる
- 自分・人の体調や健康を無視するのをやめる
- 見栄で人に助けを求めないことをやめる。人は助ける
- 仕事をストップして、自分や家族のための時間をつくる
ご存知の方も多いと思いますが、うつ病の人にやってはいけないことは以下の通りです。(本書pp.70-72)
- 「がんばれ、がんばれ」と元気づける
- 「昔はすごかった」などと、過去との比較をする
- ストレス解消に趣味に誘う、気晴らしに旅行に誘う
- 散歩やスポーツジムなどの運動を勧める
- はれものに触るように、当たらず障らずの態度をとる
- うつになる原因探しをする
じゃあいったい何をすればいいんだ、となりますが、病に寄り添うとともに、以下の心療内科に同伴することを勧めています。心療内科に同伴する利点は以下の3点が挙げられています。(本書 pp.73-75)
- あなたと一緒だったら行ける
- 症状を的確に医師に伝えられる
- 医師の判断・治療計画の説明を理解・遂行できる
章末にもありますが、うつ病はチャーチルやリンカーン、開高健や江藤淳などもかかった一般的な病です。チャーチルはうつ病を自ら飼いならしていたような節まで見受けられており、普通の人はなかなかそこまでできませんが、悲観することなく焦らずゆっくり対応することが重要なようです。