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レビュー

京都をぐるぐる、案内もぐるぐる

森見登美彦(2014)『森見登美彦の京都ぐるぐる案内』新潮社

登美彦氏は煙草を吸いながら、「進々堂で構想を練っているのだぞ」という顔をした。顔のことばかり気にかかって、考えはまとまらなかった。(本書 p.60)

森見登美彦の京都ぐるぐる案内 (新潮文庫)

聖なる怠け者の冒険』で第二回京都本大賞を受賞した森見登美彦が、自身の小説の舞台を案内する京都案内本。小さなエピソードが散りばめられていて、なぜこの場所が小説に登場したのか、といった裏話も読める。

特に『聖なる怠け者の冒険』は「なぜこんなところを?」と思うぐらい何の変哲もない、小さな通りや喫茶店が出てくる。スマート珈琲店も柳小路も実在するので、暑い夏場にどうしてここが選ばれたのかを考えながら歩くのも一興。帰りに四条烏丸に行くと、祇園祭の喧騒の中で不思議な体験ができるかもしれない。

本書を読んでいると森見氏と一緒に京都をぐるぐる歩いているような、森見氏の小説の中にぐるぐる迷いこんでしまいそうな、ふしぎな陶酔に包まれる。

手頃な値段な上に、いっぱいの使い道がある。素晴らしい文庫本だ。