集団的自衛権の限定的な容認は戦争しない国への第一歩


佐藤優(2014)『佐藤優の10分で読む未来 キーワードで即理解 戦争の予兆編』講談社

新帝国主義の時代というのは、全面戦争はしない。でも、局地戦ぐらいはある。それでお互いに譲歩しながら力の均衡をつくるんです。(本書 p.168)

佐藤優の10分で読む未来 キーワードで即理解 戦争の予兆編

ラジオ番組「くにまるジャパン」とメールマガジン「インテリジェンスの教室」で披露している内容をまとめたものだ。こちらは前回紹介した『新帝国主義編』の続編にあたる。

姉妹書で世界が新帝国主義の時代に入ってきたことを指摘し、今後の流れとしては世界大戦は起きないけども、継続的に小さな戦争が続いていくようになるという見立てをする。

姉妹書よりも新しい話だからか、かなり面白く読める。たとえば、集団的自衛権の限定的な容認を閣議決定したのは、戦争ができる国にしたのでは決してない。公明党の動きにより、法律論から見ればこれまでよりも戦争のできない国になったのだ。

これまでの日本政府は国内法では集団的自衛権の行使でないとしながらも、国際法上は同権の行使という形で、いわば国内向けと国外向けに違う方便を使っていた。しかし今後は国内外で違う解釈をしないというルールになったのだ。だから、今後はその方便は使えない。だけど国連等で自衛隊を国外に出す場合も出てくるだろう。その場合、閣議決定に違反して出すことになる。

こんな見方は新聞では教えてくれない。まさに外務省に長年勤め、外交や国会を知り尽くした佐藤だからできる分析だ。

この話意外にも、クリミア編入でならず者だと思われているロシアが実は地域の実情にもっとも根ざした対応をしている。一方、米国はわからずに暴走し、ヨーロッパはその様子を静観している、という見立てもまさに腑に落ちる。しかも佐藤が使っているのは全てオープンソース、誰でもアクセスできるデータである。

世の中の重要な情報の9割以上は公開情報だと言われているが、本シリーズを読むとまさにそうだと実感できる。