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東南アジアの書店事情

タイの書店

タイ

タイの書店はあまり見かけません。ときどき洋書(欧米系言語の本)を扱う本屋がありますが、タイ語の本を扱う本屋はほとんどありません。というのも、 タイで大衆小説や子供向けの本以外の文学作品の出版物は個人や寺が持っているそうです。そのため、手に入れるには一工夫がいると『道は、ひらける―タイ研究の五〇年』に書いてありました。

重要な文献は、書店で買うことができなかった。なぜなら、それはお葬式の際に参会者に配るための出版だったからである。

石井米雄(2003) 『道は、ひらける―タイ研究の五〇年』 めこん、p.116

ミャンマー

DPZでの西村さんのレポートでもあるように、ミャンマーでは古本を補修して読むスタイルが定着しています。そのため本屋さんも割と見つかるので街歩きも楽しいです。何が書いてあるかわからないけど、丸いビルマ文字を眺めるのは楽しいです。

ラオス

ラオスも社会主義国だけあって、書店は割とあります。出版物の中にはラオ語の本のほか、フランス語の党機関紙もあったりします。さすが旧仏領と思います。ただ、本は需要がないからかかなり高いです。驚きます。

マレーシア

ほとんど本屋を見かけません。私はいつも空港で買います。

シンガポール

こちらは日系の紀伊国屋ばかり行くので、地元の書店はあまり知りません。空港には割とあります。

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中国の書店事情

中国の書店

中国の書店といえば国営新華書店です。大規模だし品数も多いです。おそらく最大のものは北京の西単にある大書城でしょう。2010年代前半に行ったときは店内に耳の聞こえない人たちのための募金を集める人たちがいましたが、いまはそういう寄付金詐欺まがいの人たちはいなくなりました。

中国は経済大国になったとはいえ、日本と比べると物価は安いです。しかも印刷物は版を作るのが高く、刷るのは安いので大量印刷するほうが1冊あたりの単価が安上がりになります。物価安な上に大量に印刷する中国では必然的に本はかなり安くなります。

古典や辞書のたぐいはたくさん出ているし安価で買えます。ただほぼ全て簡体字なので、慣れないと違和感があります。そもそも漢文を簡体字で読む必要性も感じられませんし…。

新華書店は国営の書店だけあって、党大会のあとは報告書が平積みされる一方でほんとうの意味で面白い本は出回っていません。ちゃんと在庫管理がされています。

新華書店の他にも独立系の書店もあります。北京だと万聖書園や三聯韜奮が有名です。近年は当局の締付けが厳しく、いつまで生き残れるかわかりません。ただ、これらのお店には新華書店とは違った品揃えの本が置いてあって興味深いです。

独立系書店の一つ、PAGEONE。おしゃれ系本屋

その他、中国では大学等が出版部門を持っているため、北京語言大学には語学書が、中国社会科学院には社会科学関連書が揃った書店が、民族出版社の書店には各民族の言語で書かれた本まであります。また、古本屋といえば中国書店が有名チェーンです。北京市中心部にはあまりないですが、少し郊外に行くとあります。

民族出版社

ただ、本に限ったことではありませんが、中国では国土が広大で移動が大変なこともあり、ネットショッピングがものすごい勢いで広まっています。おそらく国営の新華書店や研究機関、出版社付属書店は大丈夫かと思いますが、それら以外の民間の書店が経営的にいつまで生き残れるのかは不透明です。

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台湾の書店事情

台湾の書店といえば、誠品書店が有名です。esliteというブランドでステーショナリーなども扱っています。旗艦店は台北101近くにある信義店です。その近くの南敦店も雰囲気のあるお店です。

台湾の出版事情は人口2300万人の国家の限界かあまり良くなさそうです。本の値段は日本で同等のものを買う場合の8割ほどです。しかし大卒初任給が日本の半分程度と考えると割高です。原因の一つは翻訳物の多さがあるかもしれません。

日本の小説も多くありますが、網羅的とは言えません。例えば森見登美彦の作品は『夜は短し歩けよ乙女』『夜行』が翻訳されている程度ですし、小川糸も『ツバキ文具店』ぐらいしかありませんでした。そのため、日本でのように谷崎潤一郎三島由紀夫の『文章読本』を読んでから斎藤美奈子の『文章読本さん江』を読む、といったような楽しい読み方ができません。

ただ、中国(大陸)や台湾の小説はやっぱり貴重で、買いに行く価値はあります。簡体字の本は神田で手に入りますが、繁体字の本は日本国内で手に入れるのが難しいからです。辞書も繁体字のものは日本ではほとんど手に入らないので、私は台湾で中日・日中辞書を買い求めました。店内には映画やテレビドラマのDVD、店舗によっては音楽のCD・DVDも置いてあるので、毎回チェックしますし、結構買ってしまいます。

その他、台北駅南側から西門町あたりには数多くの書店が集まっていて台湾随一の書店街の様相を呈していますので、見ているだけでも楽しいです。

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中東の書店事情

イランの書店員

イスラム教、ヘブライ教の国が多い中東では聖典を読む機会が多いからか、本屋さんが多くあります。ほとんどがアラビア語、ペルシャ語、ヘブライ語の出版物なので相当勉強した人でないと読めません。旅行者には不便ですが、これだけの出版文化がまだ維持されているのはさすが四大文明の生まれたところと感じます。

イスラエル

イスラエルではエルサレムの新市街、路面電車の走っているメインストリート沿いに本屋を見かけます。ほとんどヘブライ語っぽかったのであまり調べてはいませんが、本に困れば英語、ドイツ語であれば手に入れることはできそうです。

イラン

イランではまだそこまで西洋化が進んでいないからか、それともコーランをよく読むお国柄だからか、書店は割と見かけます。諸外国ではあまり見かけなくなった絵葉書も多くあります。特にテヘランではテヘラン大学周辺に教科書や参考書を売る書店のほか、古本を売る屋台もあります。ほとんどペルシャ語なのはご愛嬌。

古本の露天 真ん中にはヒトラーの『わが闘争』
本がぎっしりイランの書店

ヨルダン

ヨルダンではアンマンの市街地や市場で本をよく見かけます。本を売っているおじさんたちは英語で話してくれると思います。売っている本は大半がアラビア語です。

ヨルダンの書店
ヨルダンの書店