”うつ状態”とは、人が疲労しきった状態のことである。付け加えると、疲労しきったからだを守るため、生命の緊急対処プログラムである<感情のプログラム>が一斉発動した状態でもある。
本書 p.2
行動すると結果がである。仮に失敗すれば後悔はのこるが、それは次への学習のチャンスでもある、何よりも持続的な不安を終わらせることができる。今の苦しい持続的な不安状態を、あなたは行動によって終わらせた。そのこと自体が自信回復につながる。
本書 p.117
本書の著者は防衛大学校卒業後、筑波大学で心理学を修め、「心理幹部」となった自衛官です。自衛隊だけあって、うつ病に関する病理的な話ではなく、発症した後に治して行く方法を具体的に紹介しています。
著者はまずうつ病の段階について以下の通り分けていきます。
- 落ち込み期
- 底期
- 回復期
- リハビリ期
本書では主に一番苦しいリハビリ期(回復の実感が持てない時期)を中心に対処法を説明していきます。中には指先の横側のツボを刺激する方法など、著者自身が「なぜ効果があるのかは、実は私にもよくわからないが、実際、多くの苦しむ人に効果がある」とされる方法まで紹介されています。理論的ではなく、極めて実践的な本になっています。
例えば、自身が持っている不安についてのイメージを抱き、その不安が身体のどの部位にあり、何色でどういう大きさ、触感かをイメージします。そのイメージに「動けない悲しさ」などと名前を付けてずっと意識します、すると何が問題だったか気づくそうです。
また「七三でいこう」という方法は療養や社会復帰など、今自分が悩んでいることに対してどちらかの方針を決めて、決めた方を7、決めなかった方を3の割合でやります。例えば療養を決めた場合、7割は休み、残りの3割で会社の人と連絡をする、外に出て通勤の訓練をする、などをしていきます。するとやりたくなかった3割のことができるようになり、自信につながります。
本当に効果があるか分かりませんが、リハビリ期の方はトライしてみてもいいかもしれません。