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適応障害やうつ病には認知療法を試してみよう

うつ病は楽しめない病気です。また、動けなくなる病気です。そのために状況はますます悪化していきます。その状態を改善するためには、少しずつでも楽しめる可能性を探り、動くことが大切になります。最近の脳科学では、何もしないでいると、何かをしようという気持ちにならないことがわかっています。

本書 pp.57-58

つらい気持ちを楽にするためには、気持ちが動揺したときに浮かんでいる考え、つまり自動思考に注目してバランスの良いものに変えていく、認知再構成法と呼ばれる方法が役に立ちます。

本書 p.146

本書の著者、大野裕(おおの ゆたか)氏は皇后雅子様の主治医としても知られています。慶應義塾大学医学部を卒業後、コーネル大学、ペンシルバニア大学を経てラスカー賞受賞者のアーロン・ベック氏から認知行動療法の訓練を受けた医学者です。

いま、5人に1人がうつ病にかかるといわれています。そのせいか、心療内科・精神科に連絡しても初診までは数日から数週間かかります。その間は誰にも助けをもらえない、つらい日々を過ごすことになります。厚生労働省が電話相談を紹介していますが、つながるのは1割から2割程度だそうです。

本を読む気力が起きないかもしれませんが、もし起きる場合、初診までの間に認知療法の入門書である本書を読んでみてはいかがでしょう?

認知療法とは、いま直面している問題から距離を置いたり、いろんな角度から見つめなおすことでうつや不安を軽減しようというものです。また、やる気が出ないのではなくて出せないだけなので何か行動することも勧めています。

一つの方法として楽しい行動を見つけることを勧めています。

月曜日火曜日
8時起床 1点
着替え 2点
9時朝食 3点起床 2点
着替え 3点
10時犬の散歩 6点朝食 3点
11時
12時昼食 6点昼食 6点
本書 p.62より

このように一日の中で一番強い達成感や楽しさを10として一週間を通してどの行動が楽しかったかを振り返ります。なかなかうまくはいきませんが、少しずつ楽しかった行動を増やすようにして気分を前向きにしていくのが、認知療法の一つの方法です。

そのほかにも行動計画を立てたり、自分の思考の癖を見直すなど、多方面からうつにアプローチしていきます。さらに詳しくは『こころが晴れるノート:うつと不安の認知療法自習帳』などが参考になります。

しかし、本書では以下のようなことも書かれています。

できれば、行動をする場所や物を目的に応じて使い分けるようにしてください。ベッドは寝るためだけに使い、疲れをとったり身体を休めたりするときには、居間のソファーや茶の間の畳を使うようにします。

本書 p.71

在宅勤務が増えた今となっては、仕事とプライベートを切り分けるのが難しいのが現状です。だからこそ、うつの人が増えたのかもしれません。

参考リンク:
こころの健康対策~うつ病~(認知行動療法の記述もあります)