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レビュー

特捜部に逮捕された二人が教える逆境を勝ち抜く方法

佐藤優・石川知裕(2014)『逆境を乗り越える技術』ワニブックス

佐藤
とにかくどこでプライドを捨てるかというと、住居で捨てないといけない。というのも、日本は異常に住居費が高くつくから。(本書 p.142)
佐藤
(前略)年収2000万円以上稼がなかったら、彼ら(東京地検特捜部)は来ません。あるいは政治家にならなきゃ来ません。
石川
本当にそのとおりですね。だいたい捕まる人というのは企業でも決まっていて、中枢のラインにいる人ですよ。これは仕事ができる人間だから捕まるわけで。もしくは目立つ人ですよね。
佐藤
年収300万円から500万円の間で、どこか郊外の小さな住宅から一時間半ぐらいかけて通勤している人間というのは、絶対捕まりませんから。
石川
でも、もし捕まったら、発想の転換をしないといけません。捕まったときは左遷されたりレールから外されたりします。(本書 p.79)
石川
何気ない発言も敏感になっていて、イラッとしたりするときがあるんですよ。それでも心の底では友達からの連絡を待っているものです。大切な友達が逆境に陥ったら、連絡をしてあげたほうがいいですね。(本書 p.240)

東京地検特捜部に逮捕された二人が語る逆境の乗り越え方。普通の人にはできない体験をして見事返り咲いた二人だからこそ、言葉に重みが出る。

東京地検特捜部や国税庁、公安委員会などにやられると、もう二度と前までのペースでは仕事ができなくなる。だけど潰されてはたまらないので、生き残る方法を考えないといけない。佐藤・石川の二人は局地戦で戦い、生き残る方法を編み出した。

石川は聴取のときにこっそり録音をして、調書と取り調べが違うことを明らかにし、無罪を勝ち取った。隠し録音をするというアドバイスは佐藤の入れ知恵によるものらしい。意外なところで二人はつながっていたのだ。

二人の話し合いは決して対岸の火事ではない。我々の身にも起こりうることだ。学校や職場の派閥争いに巻き込まれたり、そうでなくてもうつ病になってしまいそうな環境にさらされることだって、人生に何度か訪れる。そんな時にも冷静に自分の立ち位置を見つめ、どの部分なら勝てるか、どうやって今後生き延びることができるのかを考えるべきだ。

そんなとき友人が一番助けになると意気投合する二人。いざというとき強いのは人と人とのつながりだ。