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アドラー心理学でお悩み解決

私たちは私たちが生きているこの世界に所属し、その一部でああります。アドラーは、このことを「全体の一部」という言葉で表現しています。しかし、人は世界の一部であっても、その中心にいるわけではありません。

本書 p.49

遠距離であろうとなかろうと、会える時はその時を楽しみ、次のことを考えないということが大切です。

本書 p.103

本書はおそらくカウンセラーをやっていると思われる著者が、長年のカウンセリングの経験と、アドラー心理学の考え方を合わせて、一般的な悩みにこたえる本です。新聞や雑誌にあるような短い回答ではなく、時には数ページにも及ぶ回答を書いており、読みごたえがあります。

アドラー心理学とはアルフレッド・アドラーというオーストリア出身の精神科医が提唱した心理学で、個人心理学とも呼ばれます。

Wikipediaを読むといろいろと難しい話があるみたいですが、以下の考え方が基本的な路線になっているかと思います。

  • 今あることに集中する
  • 変えられるのは自分だけ

上記の考え方を中心に著者も悩みを解決していきます。

親子関係や恋人との関係、友人関係がうまくいかない。原因は過去にいろいろなことがあったからかもしれません。しかし、過去は変えられません。そして相手も変えられません。変えられるのは今、ここからのことと自分自身だけです。

だからこそ、うまくいかない関係の過去の原因を探るのではなく、今を大事にし、初めて会ったときのように丁寧に接する。自らを変え、今を大切にする。そうするとまた違った光が見えてくるかもしれません。

悩みのある人は本書を手に取ってみるのも一つかと思います。

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脳神経外科医が教える「うつ」予防テク

実は、インターネットもメールと同様に、脳の限られた狭い領域しか使わない作業なのです。

本書 p.112

うつ病では、偏桃体と海馬のネットワークが機能低下します。偏桃体が正常に機能しないために、日常生活で喜怒哀楽の変化に偏りが生じて、生活の中での感動が失われます。

本書 p.143

本書は岐阜県在住の脳神経外科医が書いたうつ病にならない方法を指南する本です。

一般的な症例を紹介してうつ病にはどういう症状があるかを例示し、その後、うつ病は脳の病気であるため、そのメカニズムと対策を紹介しています。

うつ病に一番気づきやすいのは家族であるため、家族に起きた変化をもとに、うつ病かどうかを判断するチェックリストもついています。うつ病にならないためには以下の点が肝要だとしています。(本書 pp.78-80)

  1. 完璧主義をやめる
  2. 自分や人のミスに厳しすぎるのをやめる
  3. 全てをコントロールしようとするのをやめる
  4. 余計な関わりを持つのをやめる
  5. 自分・人の体調や健康を無視するのをやめる
  6. 見栄で人に助けを求めないことをやめる。人は助ける
  7. 仕事をストップして、自分や家族のための時間をつくる

ご存知の方も多いと思いますが、うつ病の人にやってはいけないことは以下の通りです。(本書pp.70-72)

  • 「がんばれ、がんばれ」と元気づける
  • 「昔はすごかった」などと、過去との比較をする
  • ストレス解消に趣味に誘う、気晴らしに旅行に誘う
  • 散歩やスポーツジムなどの運動を勧める
  • はれものに触るように、当たらず障らずの態度をとる
  • うつになる原因探しをする

じゃあいったい何をすればいいんだ、となりますが、病に寄り添うとともに、以下の心療内科に同伴することを勧めています。心療内科に同伴する利点は以下の3点が挙げられています。(本書 pp.73-75)

  1. あなたと一緒だったら行ける
  2. 症状を的確に医師に伝えられる
  3. 医師の判断・治療計画の説明を理解・遂行できる

章末にもありますが、うつ病はチャーチルリンカーン開高健江藤淳などもかかった一般的な病です。チャーチルはうつ病を自ら飼いならしていたような節まで見受けられており、普通の人はなかなかそこまでできませんが、悲観することなく焦らずゆっくり対応することが重要なようです。

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自衛隊式うつ克服法

”うつ状態”とは、人が疲労しきった状態のことである。付け加えると、疲労しきったからだを守るため、生命の緊急対処プログラムである<感情のプログラム>が一斉発動した状態でもある。

本書 p.2

行動すると結果がである。仮に失敗すれば後悔はのこるが、それは次への学習のチャンスでもある、何よりも持続的な不安を終わらせることができる。今の苦しい持続的な不安状態を、あなたは行動によって終わらせた。そのこと自体が自信回復につながる。

本書 p.117

本書の著者は防衛大学校卒業後、筑波大学で心理学を修め、「心理幹部」となった自衛官です。自衛隊だけあって、うつ病に関する病理的な話ではなく、発症した後に治して行く方法を具体的に紹介しています。

著者はまずうつ病の段階について以下の通り分けていきます。

  1. 落ち込み期
  2. 底期
  3. 回復期
  4. リハビリ期

本書では主に一番苦しいリハビリ期(回復の実感が持てない時期)を中心に対処法を説明していきます。中には指先の横側のツボを刺激する方法など、著者自身が「なぜ効果があるのかは、実は私にもよくわからないが、実際、多くの苦しむ人に効果がある」とされる方法まで紹介されています。理論的ではなく、極めて実践的な本になっています。

例えば、自身が持っている不安についてのイメージを抱き、その不安が身体のどの部位にあり、何色でどういう大きさ、触感かをイメージします。そのイメージに「動けない悲しさ」などと名前を付けてずっと意識します、すると何が問題だったか気づくそうです。

また「七三でいこう」という方法は療養や社会復帰など、今自分が悩んでいることに対してどちらかの方針を決めて、決めた方を7、決めなかった方を3の割合でやります。例えば療養を決めた場合、7割は休み、残りの3割で会社の人と連絡をする、外に出て通勤の訓練をする、などをしていきます。するとやりたくなかった3割のことができるようになり、自信につながります。

本当に効果があるか分かりませんが、リハビリ期の方はトライしてみてもいいかもしれません。